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「福井県における潜在自然植生を基礎とした環境再生」
上席研究員 村上 雄秀

 これまでに、当センターは福井県の雪対策・建設技術研究所、各土木事務所、地方自治体との依頼・協力によって、福井県各地において森林再生を主軸とした環境再生を計画立案してきている。ここではこれまでの計画例とそのねらいを報告する。

アイコン道路法面の緑化
道路建設に伴い出現する法面は、法面の保護などの土木的な理由だけでなく、工事に伴う環境損失への代償措置、通行する車両から排出される排熱・排気ガスなどの環境汚染、生態系の分断および地形・植生の人工化などの環境面での要因で、速やかな緑地の再生が必要とされる。この際、高い環境修復機能を持つ森林植生の再生が有効と考えられ、多くは潜在自然植生そのもの、およびそれに至る遷移上の前段階の森林植生を目標にした緑地の再生を内容としている。


写真1.福井市北陸自動車道法面(2003年3月撮影)
●例1(写真1):福井市北陸道の法面においては既存のススキ草原を簡便に森林化する試みとして先駆樹種+潜在自然植生構成種という樹種構成での植栽を実施した。先駆樹種によるススキの繁茂抑制効果を期待したもの。

●例2(写真2):小浜市の国道付け替えに伴う道路法面において潜在自然植生の復元を目的に、ヤブコウジ−スダジイ群集の構成種を中心とした植栽を実施した。

●例3(写真3):丹生郡宮崎村の新設村道において、林縁植生を含めた潜在自然植生の再生を目的に、ヒメアオキ−ウラジロガシ群集の構成種を中心とした植栽を実施した。

写真2.小浜市国道法面(2001年6月撮影)

写真3.宮崎村村道法面(2002年9月撮影)

アイコン河辺植生の再生
都市河川において河辺植生の再生を図る目的で計画高水位(HWL)以上はのケヤキ、エノキなどのムクノキ−エノキ群集の構成種の植栽による再生を行い、HWL以下においてはヨシ、オギなどの水辺植生の構成種の植栽(越前市河濯川)、および自然再生を待つ(福井市狐川)計画を立案し、モニタリング調査を実施中である。

写真4.福井市狐川の河辺植生再生地(2003年6月撮影)

写真5.越前市河濯川の河辺植生再生地(2003年6月撮影)

アイコンダム工事に伴う土捨場の森林再生

写真6.勝山市浄土寺川ダムの森林再生地。手前は先年度の植栽地(2002年11月撮影)
ダム工事に伴い出現する広大な土捨場、作業道などの法面において、地形に応じた複数の潜在自然植生(チャボガヤ−ケヤキ群集、ヒメアオキ−ウラジロガシ群集など)の再生を目的とし、それぞれの構成種を用いた植栽を計画した。水田跡地に自然地形に近い形状に残土を盛り、その表面に表土の復元と植栽、マルチングを実施している。


アイコン街路緑地帯の設計

写真7.フェニックス通りの街路樹設計図
福井市中心街のフェニックス通りにおいて郷土の緑、自然再生を基軸とした街路緑地帯の設計を行った。潜在自然植生およびそれが許容する樹種を用い、多層構造を有し、かつ視界を確保した配置とし、一部には幼苗を用いた樹林の形成も実施する計画である。

・多様な植生回復の実践例「多様な植生を再生する」のダウンロードはこちら

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